自己破産するために必要なこと-条件や負債額の最低ラインをまとめました。

借金が少なくても自己破産できる?
任意整理との違いや検討する収入の目安など

 

自己破産の条件

 

債務整理は任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4種類があります。
自己破産のみ借金を全てチャラにすることができ、他の手段は借金の全部または一部の返済義務が残ることになります。

 

できるなら自己破産して借金をチャラにしたいと思う方が多いですが、一般的に自己破産は他の債務整理では対応できないほど負債が膨らんだ人が利用する最終手段です。

 

はたして自己破産は借金が少なくてもできるのでしょうか?任意整理との違いや検討する収入・負債額の目安について紹介します。

 

自己破産の条件

 

自己破産は裁判所が認めた債務者のみができる救済措置で、以下3つの条件を全て該当する方のみ利用できます。

 

  • 債務の支払いが不能状態にあること
  • 債務が非免責債権ではないこと
  • 債務を負担するに至る理由が免責不許可事由に該当しないこと

 

非免責債権とは損害賠償や民法で定められた条件の負債や支払い義務のことで、銀行や貸金業者からの借金は基本的に非免責債権には該当しません。
重要なのは支払いが不能状態にあると認められることで、収入と借金額・支出の関係が考慮されます。

 

年収3分の1を超える借金

 

自己破産できる借金のライン

 

自己破産できる最低ラインと言われているのが、「借金の総額が年収の3分の1を超えていること」です。
また、自己破産するための借金総額は自身名義の車や不動産を売って残った財産を考慮する必要があります。

 

このルールだけを見れば年収が低ければ簡単に自己破産できるように思われがちですが、一時的に無職になっている場合や転職活動中で収入が低下している場合は直近の収入が基準にされません。
健康で普通に働ける方なら、フリーターなど簡単に就ける仕事でフルタイム勤務した場合の年収を基準にされることが多いです。

 

フルタイムで働けば最低でも年収240万円くらいは確保できるので、自己破産できる最低ラインは240万円の3分の1にあたる80万円以上です。
自己破産は数千万以上の借金がある人向けだと思われがちですが、日弁連の公表した2020年破産事件及び個人再生事件記録調査によると、自己破産した人の28.39%が100~300万円未満の借金額だったデータが出ています。

 

任意整理との違い

 

司法書士の手元

 

任意整理とは債権者の合意を得て将来の利息を免除して長期返済計画に組み替えるなど、支払い負担を少なくして借金の返済を続ける債務整理です。
債権者から見れば返済困難な状況で借金を踏み倒されるよりも、将来の利息を免除してでも回収した方がメリットがあると考える。こうした理由で応じる任意での特例返済方法と表現すると分かりやすいでしょう。

 

基本的に任意整理は弁護士か司法書士の代理人を通じた交渉でないと債権者は認めてくれません。

 

任意整理は裁判所を通じた手続き不要で手軽に利用できるので、借金額が少ない場合は自己破産よりも低コストで済む場合があります。

 

自己破産は借金が全てチャラになるかわりに裁判所を通じた手続きをする必要性があり、生活に最低限必要な物を除いて財産は全て没収されます。
また、任意整理は信用情報機関へ掲載される期間が5年ですが、自己破産は一部の信用情報機関で10年掲載され、官報によって自己破産した人の名前が公表されるデメリットがあります。

 

どの方法を選択して債務整理するのがベストなのかは収入・負債・財産など状況によって違います。
まずは債務整理に専門性が高い弁護士や司法書士に法律相談することから始めてください。